アグファ レコード III


camera photo  AGFAはフィルムなどを作っていたアニリン染料会社の頭文字から生まれたブランドで、カメラ製造部門にその名が付けられた。戦後、西ドイツのカメラ会社としては最も規模が大きく、生産したカメラの種類も多い。AGFAの高級機にはゾリナー(3群4枚)やアポター(3群3枚)レンズが付けられていた。どのカメラも見た目は華奢(きゃしゃ)だが造りは頑丈で美しいカメラが多い。35mmカメラの種類も多様で、中にはユニークなカメラも多い。

 6x9cm蛇腹カメラはシャッターボタンを左手で押すデザインが多く現代のカメラに慣れている我々にとっては戸惑うことがある。このカメラは右手でシャッターを押す数少ないスプリングカメラのひとつである。
 アクセサリーシューが付いている蛇腹カメラもそう多くはない。手軽にストロボ撮影を楽しむこともできて有れば便利な機構である。シャッターはプロンターSVでB、1-1/250秒をカバーし、シンクロ接点はX、Mを切り替えて使う。Xにしておけば現在のストロボで全シャッター速度に同調する。セルフタイマー付き。巻き上げは赤窓式。この赤窓は常にバネでカバーされており、巻き上げの時だけレバーを押して中のフィルム番号をみる。この種のカメラには是非欲しい二重撮影防止機構もちゃんとついており、今でも実用機として十分使えるカメラのひとつである。
 レンズとは連動しない、いわゆる単独距離計が内蔵されている。距離計で計った数値を前玉回転式のレンズの目盛りに移して撮影することになる。距離計があることで、花など近距離の撮影にも安心して使用することができる。距離測定はビューファインダーの中の二重像を合わせるタイプ、いわゆる「一つ目」式で、分離がよく使いやすい。レンズに連動しなくでもあまり不便は感じない。


アグファ レコードIIIの主な仕様
メーカードイツ アグファ社(AGFA Kamerawerke Munich)
製造初年1952〜57年
フィルム120ブローニー 6x9cm 8枚撮り
ピント合わせ前玉回転式で目測または内蔵単独距離計で合わせる。
レンジファインダー二重像合致式
ファインダー逆ガリレイ式
レンズアポター105mm F4.5(3群3枚)最小絞り F32
シャッターProntor-SV B、1〜1/250秒 X,M接点
Self Timer
撮影最短距離3フィート
フィルム送り赤窓式
大きさ・重さ6x9cm標準 / 700g
その他二重撮影防止装置付き



【使用感】
 このカメラは畳むと大変薄く(39mm)、目方も700gと6x9cmカメラの中ではコンパクトな部類に入る。距離計が連動しない分小さく軽くなっている。二重写し防止機構、アクセサリーシュー、右手シャッターなどスプリングカメラに欲しい機能を全て装備している高性能カメラで、これだけのスペックが揃っているカメラはなかなか見当たらない。
 赤窓はバネで常にカバーされている。このバネのおかげで、どうやって巻くかはたと考えてしまった。右手で巻こうと思わず、カメラを構えたまゝ右手親指でレバーを押上げながら左の親指と人差し指を使うとうまく巻ける。片手では絶対巻けない。単独距離計は使いやすくファインダーも明るい。ホールドしやすく、よく写る頑丈で美しい実用的な6x9cmカメラである。市場ではあまり見かけないがあってもそう高くない。


Related site  蛇腹カメラのススメ

Home | Thumbnail | Frame |