キヤノンペリックス

直線を多用した飽きの来ないデザイン
撮影時にもミラーの動かない最高級一眼レフ

Canon FX  キヤノンの最初の一眼レフであるキヤノンフレックスは1959年3月に発売された。その後2,3のキヤノンフレックスRシリーズを経て1964年にキヤノンFXが登場した。CDS露出計が内蔵されていたが、まだTTL測光ではなかった。写真はキヤノンFX。

 この頃のキヤノンは直線を多用した飽きのこないデザインで高級機らしいルックスで、最近のカメラのような「なで肩」や複雑な曲線はどこにも見当たらない。


 キヤノンペリックス
Canon Pellix  本格的なTTL開放測光になったのは1971年発売のベストセラー機キヤノンF-1からである。この間、1965年には有名なキヤノンペリックスが発売されている。このカメラには絞りこみ測光ながらTTL方式が採用されていた。キヤノンペリックスの大きな特長は、ペリクルミラーという0.02mmの薄い半透明の膜を固定ミラーとして採用したことにある。一般の一眼レフとは違いシャッターを切ってもミラーはバタバタ動かない。これは半透明固定ミラーによってレンズから入ってくる光をファインダーとフィルムに分光させることでミラーのアップ、ダウンの動作を取り除いた画期的な方式の一眼レフカメラである。
 この方式は平成元年(1989年)10月に発売されたEOS RTに受け継がれて再デビューしている。世界のカメラの歴史の中でも固定ミラー方式の一眼レフはキヤノンのこの2機種だけある。写真は1966年に発売されたキヤノンペリックスQL。QLとはQuick Loadingの略で、この頃キヤノンのカメラには好んで用いられた。フィルムを巻き取りスプールに差し込まなくてもフィルムがセットされる仕組みである。
 ミラーが動かないと弊害も出てくる。その一つはセルフタイマーやレリーズ撮影の時などアイピースがオープンになると、ここからの光がリークしてフィルムにカブリを生じることになる。このため他の普通の一眼レフには見当たらないアイピースの開閉機構が巻戻しノブの下に付いている。もう一つは自動絞り動作において、絞りが完全に閉じるまでシャッターのスタートを遅延させる必要があり、このためのガバナーが取り付けられている。ミラーが動かないから操作音は静かかというとそうでもない。シャッターを押すと結構大きな金属的な音が返ってくる。ガバナーの音も加わっているようだ。
 ファインターが暗いかというとそうでもない。屋外では他の一眼レフと比べても遜色はなく撮影していても気にならない。シャッターを切ったときのちらつきが無いかというとそうでもない。絞りを絞っているとシャッターが開いている間、一瞬暗くなる。
 シンクロ接点はまだホットシューではなく、X、F接点自動切換のドイツ型ソケットが付いている。シンクロ撮影をしてみるとあらためてこのペリクルミラーの良さがわかる。被写体にフラシュが当る様子がファインダー内で確認できるからである。これは大きなメリットである。
 大きくて、重く、50mmF1.4付きでゆうに1キログラムを超えるカメラだ。しかし、撮影時のホールドはよく、絞込み測光もセルフタイマーレバーを押すだけなので大変操作のしやすいカメラである。露出計には水銀電池が使われていたが、今は小さい電池が使えるアダプターが発売されているので実用機として使うことができる。


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