ヒットカメラ

小型カメラ2題


 小学生の頃に憧れていたのがヒットカメラである。左の写真のカメラ(右側)は、「クラウンカメラ」の刻印があり”本物のヒット”ではない。通販カタログにヒットタイプとの記述が懐かしくて買ったものだ。20ドル。1947〜50年頃のほとんどオモチャのカメラだがちゃんと写真が写せる。

 戦後間もない頃、雑誌「少年」の付録によくボール紙の「のりしろ」を張り合わせて作るカメラが付いていた。黒い紙のホルダーに入ったシートフィルムが決まって3枚、それにクスリ(現像、定着液)も付属していた。わくわくしながら組み立てて写したことを覚えている。運悪く?、そんなカメラでもそれなりに写ったのが今のカメラ好きになった遠因のような気もする。

 その頃の雑誌の広告で、少年達の関心を集めていたのが「ヒットカメラ」である。ロールフィルムが使えて、裏紙付きの16mmフィルムを使い四角い写真が連続して撮れる総金属製カメラである。雑誌の付録のボール紙製とは違い子供ごころには何とも魅力的なカメラであった。
 当時の値段は300円、到底買って欲しいと言い出せる金額ではなく、サラリーマン家庭の少年には我が家の経済事情はよくわかっていた。幸い友達がもっていたのを借りて写してみることができたのはラッキーだった。良く写った記憶はあるものゝ、伸ばして鑑賞したのか、密着焼きだったのかは思い出せない。DPEは街のオモチャ屋さんで引き受けていたように思う。

 今、文献で調べてみると当時はよく似た多数のヒットタイプ・カメラが存在していたらしい。その多くは東郷堂製だったようだ。今で言うOEMブランドか。戦後の混乱期のカメラにしてはトップのメッキは美しく今でも顔が写るほどである。レンズの焦点距離は25mm見当、単玉で明るさは約F11、バルブとインスタント(30分の1秒)だけのシャッターである。裏紙つき16mmフィルムで14x14mmサイズ10枚撮りの赤窓式。大きさは 33 x 50 x 33mm、重さは55g。


HIT Camera
 右の写真は最近ebay(世界最大のインターネットオークション)で手にいれた”本物のヒット”である。そう言えばこんな立派な速写ケースもついていたことを思い出し、思わずBITしてしまった(18.05ドル、Nov 1999)。うれしいことにカメラの中には、何十年か前のオーナーが途中まで撮ったフィルムがそのまゝ残っていた。14x14cmのスクェアサイズが10枚撮れるこのロールフィルムの名前は不明だが裏紙にはKIKU FILMと印刷してある(その後の調べでこのフィルムは我国だけのサイズ、マイクロ判と判明 写真下)。中古で手に入るHIT(型)カメラはスプールやそれを支えるマガジンが紛失しているものが多い。


             
スプールとマガジン



 はじめの写真の左のカメラは大きさ比較のために置いた、ミノルタ16である。ハイライト(たばこ)より一回り小さいカメラでヒットがいかに小さいかおわかり頂けると思う。ミノルタ16は高校1年の頃に母親にせがんで買ってもらった。嬉しくて、いつもポケットに入れて何処にでも持って行き撮りまくったことを覚えている。こっちは同じ16mmでも本格的な設計のカメラである。よく写った。無理して買ってもらったので価格が6,600円だったことも記憶に残っている。
 この頃、既にライカやスピグラに思いを馳せていたことを思うと、ん十年の歳月の何と短いことだろう。

 作例はヒットタイプのスプールを自作して撮ってみたものである。赤窓にテープを張り、裏紙無しのカンによる巻き上げである。周辺はかなり流れるが中心部のピントはしっかりしている。T.Kubo(Main editor)



【作 例】  by Novelty Hit Type "Crown Camera"
       25mm F11 Instant(1/30sec) T-Max100 (July 1998)

sample photo

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