Iha 6 Folding Plate Camera
文献をいろいろ漁っていると、どうやら1920年代に作られた Ihagee Folding Plate Camera らしい。本来なら、コンパーシャッターに組み込まれたテッサー105mmF4.5が付いている筈だが、ボディだけが私のもとにジャンク同然の姿で転がり込んできた。 ボディは総金属製で、外皮はやつれてひどい状態でも造りは非常にしっかりしている。レンズボードの黒エナメルやニッケルメッキは今まだ美しく蛇腹のやつれもない。ラック&ピニオン式のピント機構もスムーズに動いている。プレートカメラはバックの裏蓋がピントグラスを兼ねているのが普通だがガラスはどこにも見当たらない、どこかのジャンク箱を転がっているうちに割れ落ちたのだろう。 しばらく眺めている内にレンズを付ければ写せるのではないか、これは面白そうだ、と思い始めた。ルックスは酷くてもカメラとしての性能は何ら問題ない。ジャンク箱を探してみたらこのカメラより十数年後に作られたエクター101mmF4.5があった。さらにリンホフ用のピントグラスも出てきた。エクターレンズを取りつけてみたら焦点距離が少し短いせいかピントが全然合っていない。無限位置ストッパー用のロックスタッドをちょうど5mm下げてみたらピントが来るようになった。目測用のスケールを動かして各距離のピントを確認してみたが、どうやら問題なく使えそうである。このカメラにエクターレンズは不釣り合いな感じがしないでもないが、これで一応写真は撮れる。フレームファインダーやレフレックスファインダーを使っての撮影も楽しそうだ。こうしてカメラを蘇らせ、撮ってみるのもクラシックカメラの楽しみの一つである。しかし、このように他のカメラの部品を取り付けたり、合体させることをフルーツ・ポンチ と言って、あまり歓迎されることではない。その後、テッサー105mmF4.5が手に入ったので付け替えてみたが、シャッターがコンパーラピッドなのでやはり時代が少し食い違う、フルーツポンチであることに変わりはない。 後に、IHAGEE & EXAKTA PRODUCTS AND HISTORY サイトの Hugo Ruys氏から情報を頂き、このカメラは1914年頃からイハーゲ社で作られた Patent Duplexという名前のカメラであることがわかった。(Thanks Mr. Hugo Ruys.)
レンズシフトについて 戦前の蛇腹カメラにはレンズシフトの付いたカメラが多い。 写真はカメラを地面に対して水平、垂直にセットして撮影するのが基本である。建物は垂直に写り、塀(へい)は横に真直ぐ写る。カメラを少しでも上に向けると建物は上窄(すぼ)みに写ってしまう。正方形の被写体ではカメラを正確にセットしないと正方形には写らない。 例えば、道を隔てた通りの向こうの家を写すとしよう。カメラを水平、垂直にセットすれば家は正確に真直ぐ写る。しかし、できた写真の半分は手前の道路が写ってしまい、へたすれば屋根や空は写らない。カメラを地上何メートルか上に上げれば問題は解決するが実用的ではない。こんなときレンズだけを上にシフトすれば、フィルムの上ではフレーム全体が上にシフトするため道路は写らず、家は真直ぐのまま、屋根や空まで写すことができる。同様に、鏡に写った被写体を撮るときはどうしてもカメラが写り込んでしまう。この場合レンズを横にシフトすればカメラの写り込まない写真が撮れることになる。大型カメラの場合は水平、垂直のシフト以外にスイングやチルトと呼ばれるレンズの角度を自由に変えることのできる機能を持っている。これらを総称して「アオリ機能」という。 【作 例】 by Iha6 Plate Camera Ektar 101mm F4.5 f8 1/25 Ektachrome
|