ミノックス

高性能、超小型精密カメラ


Minox B photo  スパイ映画によく登場する超小型精密カメラである。1938年ラトビアで誕生し、戦後は生産が西ドイツに移された。ラトビア製はその首都リガで生産されたことからリガ・ミノックス(またはVEF MINOX)と呼ばれている。I型と呼ばれることもある。西ドイツ製は戦後1948年にII型が生産され、続いてA型(III型)、B型、C型、そしてBL型へとモデルチェンジしていった。初期のリガ・ミノックスはA型とほぼ同じ大きさであるがステンレスボディのため重量はA型の倍近くある。B型はA型にセレン式露出計を内蔵したもので、長さが14mm大きくなった。BL型はC型(1969年)の後の1972年にB型のセレン式露出計をCDS式に変更したモデルである。

 A型は1954、B型は1958年に発売された。超小型カメラでありながらシャッターはスローから1/1000秒を有し、目測ながらヘリコイドによって0.2メートル(8インチ)から無限遠まで距離調節が可能である。ファインダーにはブライト・フレームが採用されパララックスは自動的に補正される。レンズに絞りはなく常に開放(F3.5)で使うためB型にはNDフィルターが内蔵されている。カラー対応になったと言ってもいい。モノクロ用にはグリーンフィルターが使える。A型にはイエロー、オレンジフィルターが内蔵されている。これらのフィルターはスライド式で着脱は誠に具合がいい。

 B型にはセレン式の露出計が内蔵され、追針式でASA感度は25〜400まで設定できる。NDフィルターを使用するときは自動的に露出計の感度が切り替えられるので撮影の際に面倒な倍率を考える必要はない。

 システムカメラと呼ばれるだけに豊富なアクセサリーが用意されている。

 仕上げはライカやローライに匹敵する精密さで、手のひらに乗る美しい超小型カメラである。写真はミノックスB型。



MINOX A(B)の主な仕様
メーカーミノックス社(西ドイツ ウェッツラー)
製造初年A型 1954年 B型 1958年
フィルム9.5mm専用フィルム、8x11mm 36または50枚撮り
ピント合わせ距離ダイアル(ヘリコイド)による目測式
ファインダー逆ガリレイ式。パララックス自動補正の ブライトフレーム。
レンズコンプラン15mmF3.5(3群4枚)
シャッターT,B、1/2〜1/1000秒 M接点
撮影最短距離0.2 メートル(8インチ)
フィルム送りボディを引き出し撮影ししまう時に給送される。カウントは順算式
重さ70グラム(A型)、90グラム(B型)
その他二重撮影防止装置付き
露出計セレン追針式、B型に内蔵




【フィルム】
 ミノックスのフィルムは現在でも簡単に手に入る。同じフィルムを使うカメラが多数存在するのは有り難いが難点は値段が高いことである。2,3本使ったらマガジンをとっておく。白黒ならこれに他のフィルムをカットし、詰め替えて撮る手がある。フィルムはコダックのTMaxがおススメだ。これはベースが新素材になったためスクラッチ傷がつきにくい上に、粒状性も細かくて大伸ばしに耐えるからである。

【A型、B型使用感】
 手のひらに乗る超小型カメラであるが大変よく写る。目方は70g (90g)しかない。ミノックス専用引伸機を使うと四切りくらいには楽に伸ばせる。カラーはラボ任せになるので、モノクロで撮って自分で処理して楽しみたいカメラだ。ネガサイズが小さいので作例写真のように粒子が荒れるのは仕方ないがレンズが優秀なので大変シャープな写真を楽しむことができる。最近のコダックTMaxを使えば粒子の荒れも少なく綺麗なプリントが得られる。モノクロフィルムの場合、現像は専用タンクを使えば暗室は不要で誰にも簡単にネガを作ることができる。
 ミノックスがスパイカメラとして本当に活躍したかどうかは疑問だが「ひょとしたらそうだったかも」と思わせる何かがあるカメラである。米国CIAのExhibit CenterというサイトにMinox CameraやイーストマンコダックのMATCHBOX CAMERAが大真面目に紹介されているのは興味深い。

 ミノクッスを楽しむ
 かって、「ヤシカアトロン」という日本製ミノックスサイズのカメラがあった。ラボなども完備していて一時期超小型カメラのマーケットもそれなりに存在していた。アトロン(ミノックス)サイズを楽しむアマチュアの為に アトロン専用の引伸レンズも別売されていた。当時ミノックスのオリジナル引伸機は高くて買えず、このアトロンレンズには随分お世話になったものだ。何年か経ってミノックス純正の引伸機も手に入れたが、もう熱がさめてしまった後だった。それでも何度か伸ばしてみるとやはり本物は違う。面白いようによく伸びるのには驚いた。
 最近では、時間がなく伸ばしも面倒なので35mmフィルムスキャナーでPCに取り込みパソコンでミノックスサイズを楽しんでいる。画面が小さい分、暗室と同じように埃(ほこり)などには細心の注意が必要である。



関連サイト
Minox Lab(US)



【作 例】 Minox in Germany(Photo presented by Ed Romney)

sample photo

作 例 1】 Union Square(SFO)

作 例 2】 ニューオリンズにて(1973)

作 例 3】 ニューオリンズにて(1973)

作 例 4】 SL(1972)

作 例 5】 ジョージ・岡田(Jazz Trombonist 2002)



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