Pacemaker Speed Graphic





Lens:Schneider Angulon 90mm F6.8
Leaf Shutter:Synchro-Compur-P B, 1 - 1/500 sec. Press button
Focal Plane Shutter:T, 1/30 - 1/1000 sec.
Flash Gun:Graflite 2 cell
Extra-Finder:Home made, for 90mm lens


 最初に買ったスピグラはカラートのついた超美品のアウトフィットであった。レンズはエクター1本であったがソレノイド付きで純正のフード、フィルターが完備していた。牛革の専用バッグやインストラクションマニュアル、5枚のシートホルダー、パックフィルムアダプター、ポラホルダーが入っていた。それでも価格は国産の高級一眼レフより安かった。その後スピグラは米国の通販でかなり安く買えることが判りこの美品は手放してしまった。その後何台も手に入れたが、また何台も出て行った。今残っているスピードモデルは上の写真の1台だけで相当くたびれている。私が使って磨り減った部分もかなり有り愛着が湧いている。かれこれ20年近く使っているのでこのカメラならフォーカルプレーンの音が少し変わってもすぐ判る。とにかく故障の少ないカメラである。このスピグラに付けて遊んだレンズは悠に20本を超えている。その中で最も苦労したレンズがこれから述べるワイドアングルレンズである。

 スピグラとワイドレンズ
 スピグラに標準装備されているレンズは127mmか135mmである。少し慣れてくるとボーエンやワイドがやってみたくなる。これらは35ミリカメラ換算の画角では30数ミリに相当し十分ワイドである。

 ボーエンは200mmでは少し物足りないので360mmくらいが欲しいところだ。別のページで紹介しているTele Congo 400mm F8などはオススメのレンズでスピグラに付けてもそう苦労することなく迫力ある写真が撮れる。

 問題はワイドレンズである。
 実際に90mmレンズを装着して撮影体制にしたのが上の写真である。
 127mmを常用していると次のワイドとして90mmが欲しくなる。Angulon 90mm F6.8というこのクラスの定番レンズを手に入れるにはそう手間はかからなかった。装着してみるとピントのくる位置はトラック(レール)とインナーレールの境目あたりになる。  スピグラはフォーカルプレーンがある分ボディの奥行き深くこういう結果になる。こんなときはクラウングラフィックを使うのが正統派である。ただ、実際にはレンズによってボディを変えるというのは、他のレンズとの絡みから実用的ではない。
 4x5カメラではバックフォーカスが合わないときは凹みボードを使うのが常套だがスピグラにはそんなものはない。幸いペースメーカーはインナーレールもRFに連動して動くので、この上に乗せても距離計は使える。インナーレールでピントをチェックすると今度はバックが少し足りなくなってきた。凸ボードを作れば何とかなりそうである。長い玉を使う場合、蛇腹の長さが足りないときに使うテクニックである。センチュリーグラフィック用のレンズが共通して使えるアダプターが作ってあるのでこれを利用することにした。したがって私のAngulon90mmはセンチュリー用のレンズボードに付いている。テストしてみると、このアダプターは約8mm通常のボードよりレンズが出っ張るのでインナーレールの先端で何とかピントがきていることが確認できた。
 手持ちでRF撮影をするにはインフィニティストップ(ストッパー)は不可欠である。思案の末、アクリル板を切ってガイド(スペーサー)とし、これを120mmレンズ用のストッパーの後ろに当てがって90mmのインフィニティ位置を決めようというわけだ。ワイドレンズの場合レンズボードとフィルム面の平行度は特に重要で、適当にやると片ボケを起こしてしまうので注意が必要である。写真の90mmレンズ用RFカムは0.6mm厚のアルミ板で自作したもの。


90mmレンズとストッパー

 ビューファインダーの問題
TOP-RF with Linhof Finder  レンズボードがインナーレールに乗っているためスポーツファインダーは使えない。今度はビューファインダーの問題が出てきた。やむなく、巨大なリンホフのズームファインダーを使うことにした。
 あるとき、ジャンクのポラロイドカメラが転がり込んできた。おいしそうなファインダーが付いている。プラスチック製カメラなので糸鋸でファインダーの部分を切り離し、中のマスクを取っ払うと90mmレンズ画角に対応しそうな広い視野が現れた。4x5に近い縦横比も気に入った。シューを付けたり、内面反射を防止して専用ファインダーが出来上がった。結局これが90mmのビューファインダーとして今も活躍している。

 4x5の90mmレンズの画角は35ミリカメラの25mmレンズのそれに相当する。開放で撮ると周辺光量が若干落ちるがF11まで絞ると目立たなくなる。4x5のワイドの世界はまた格別である。
  その後、Super Angulon 90mm F8も購入して使ってみた。周辺光量が大幅に改善されている優秀なレンズであるが、大きさ、重さにおいてコンパクトなAngulon 90mm F6.8の方がスピグラにはあっている。


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