ネッター 515

簡単でも本格的なフォールディングカメラ


Neter/515  ツァイスネッター(Zeiss Nettar)は1934年ころイコンタの廉価版として発売されたカメラである。ネッターにはいろいろなフィルムと露光サイズの違うモデルがあった。このうちセミ判のこのモデル515は、日本ではセミネッターと呼ばれていた。

 写真のネッター515はセミ判16枚撮りの、ひとことで言えばツァイスイコンの一番シンプルなスプリングカメラである。廉価版といっても立派に中判写真を撮ることができる。120フィルムが使用できるので今でもセミ判コンパクトカメラとして重宝な存在だ。
 レンズは Nettar Anastigmat 7.5cm F4.5、3群3枚のトリプレットである。戦前のカメラなのでコーティングはない。最小絞りはF32。


 シャッターはクリオ(KLIO)、スピードは、T、B、1、2、5、10、25、50、100、175と表示されている、セルフタイマー付き。イコンタのコンパーと比べると少し貧弱に見えるクリオだが今でも軽快に動作している。
 フィルム送りは赤窓式でイコンタにあるような二重撮影防止機構はこのネッターには付いていない。この頃の120フィルムの裏紙にはセミ判(645)用の番号が印刷されていなかったので、6x9cm用の番号を利用していた。赤窓が二つあり6x9cm用の数字(フィルム番号)を使ってフィルム送りをする苦肉の策である。フィルムを詰めたあと、左の窓に1番が出るまでノブを巻いて1枚目を出す。二枚目はノブを巻いてこの番号(1)を右の窓に移す、3枚目は2番が左の窓に出てくるまでフィルムを巻く、次はこれを右に移す、これを繰り返して8番が右の窓に来たときが最後のカット(16枚目)になる。面倒のようだがやってみると意外に簡単で間違うことはない。それよりフィルムを巻き忘れて二重写しにならないように気をつけることの方が肝心である。

 つくりはしっかりしていてどこも壊れるところのない印象を受けるカメラである。重さは430グラム、セミ判の中ではもっともコンパクトな部類に入るだろう。このネッターレンズは描写が自然で画面隅々までよく写る。この手のセミ判カメラでは、どうしても縦位置(縦長)撮影が多くなってしまうのは機構上仕方がないだろう。作例は、逆光の部分に少しフレアが見られる。


 ネッター515/2
Neter/515/2  515/2は6x9cm用である。
 レンズはNettar Anastigmat 10.5cm F4.5、前玉回転式で最短撮影は1.5メートル。目測式なので常焦点マークが10メートル付近とF11とF16の間にある。カメラを常焦点にセットしておくと被写界深度を利用して5メートルから∞までの範囲でピントが合うことになる。目測が面倒なときはこういう撮り方もできる。
 シャッターはイコンタと同じCompurで B、1 - 1/250秒が使える。このカメラも上のセミネッターと同じく壊れるところがどこにも無いようなカメラである。写真のモデルは数あるネッターうちでも1938年頃に発売された後期のものである。これより前のモデルには反射型ファインダーが付いているが、このモデルでは省略されている。反射型ファインダーはオプションで取り付け可能で、そのための溝がレンズボードに細工されている。
 よく見ると初期のイコンタとはレンズが違うくらいで、ボディはイコンタそのものである。二重撮影防止機構は廉価版に徹してかどのモデルにも付いていない。重量は690グラム、軽くても作りは大変しっかりしている。シンプルな起立式のオプチカルビューファインダーが付いている。数あるツァイスイコンの蛇腹カメラの中では、このファインダーが最も見やすく優れていると思う。山行きにはこれ一台あればいい写真が撮れそうである。





ツァイスイコン ネッター515の主な仕様
 セミネッター(515)ネッター(515/2)
製造初年19341938
使用フィルム120、セミサイズで16枚撮り120、6x9cmサイズで8枚撮り
重 さ430グラム690グラム
レンズNettar Anastigmat 7.5cm F4.5
最小絞りはF32
Nettar Anastigmat 10.5cm F4.5
最小絞りはF32
シャッタークリオ(KLIO) T、B、1〜1/175秒
セルフターマー付
コンパー T、B、1〜1/250秒
セルフターマー付
ファインダー起立式、0.7倍逆ガリレイ型起立式、0.7倍逆ガリレイ型
最短撮影距離1.2メートル1.5メートル
フォーカス目測、前玉回転式目測、前玉回転式
フィルム送り赤窓式(カバーあり)赤窓式(カバーあり)


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