スピードグラフィック

最もポピュラーなペースメーカー

 ・スピグラのことがよくわかる「初めてのスピグラ

Top Rf Speed Graphic  スピードグラフィックはアメリカ製の優れた木製ボディの4x5を中心にした大型カメラである。戦後、われわれが4x5プレスカメラとして一番なじみの深いのがペースメーカーグラフィックで、このファミリーには3つの異なったモデルがある。

 ペースメーカー「スピードグラフィック」は従来のモデル同様フォーカルプレーンシャッター付である。このフォーカルプレーンは機能が一新され、速度表示も従来のスリット幅とテンションの組み合わせによるテーブル(24速)型から、モダンな直読型になり速度も6速とシンプルになった。角(つの)型のピンを持ったシンクロターミナルが付けられた。

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 【ペースメーカーファミリー】
 1947年新機能を満載したスピードグラフィックと共にクラウングラフィックが登場した。クラウングラフィックは従来「スピグラ」の定番であったフォーカルプレーンシャッターを取り除いた軽量、コンパクトな機種である。後に4x5インチサイズの国際規格になるグラフロックバックを付けた最初のカメラである。グラフロック・バックと呼ばれる後部機構はピントグラスを着脱することができ、これによってロールホルダーやポラバックが使えるようになった。発売当初はスピード、クラウンとも4x5以外に2x3や3x4判もあった。
 1949年に三つめのモデル、2x3専用のセンチュリーグラフィックが登場してくる。これは2x3クラウングラフィックの機能を維持したまゝボディのみを樹脂(モールデッドプラスチック)にした軽量カメラである。このセンチュリーにも、後に国際G規格と呼ばれる「6x9グラフロックバック」が取り付けられていた。この年からグラフレックス社のすべてのカメラはグラフロック・バックに変更され、また古いスピグラをグラフロック・バックに改造するためのセット部品も販売されている。
 ペースメーカーになってレンズボードは金属製に改められ、無限位置ストッパーも改良されて接写のときなど簡単にこれを飛び越してレンズスタンダード(レンズボードをセットする前枠)を前にもってくることができるようになった。スポーツファインダーも使いやすいモダンなものに変わりボディ全体のデザインもスマートに変身した。アオリにはチルトが追加されセンチュリー以外のモデルにはボディシャッターも取り付けられた。

 スピードモデルには途中から、従来のマルチ・スピード・フォーカルプレーン(スリットとテンションの組み合わせ)に変わって「スーパーDグラフレックス」に採用された幕速2段切換えの6スピード新型フォーカルプレーンが付けられた。60、250、1000とガバナー制御の30、125、500のスピードが得られるものである。

 1950年代の終わり頃になってレンジファインダーがカメラの上部に移った俗称「トップ・レンジファインダー」が発売された(スピード、クラウンの4×5モデルのみ)。このモデルには従来のカラート・レンジファインダーに代わってボディ上部に専用の距離計がビューファインダーとともに一体になって組み込まれたものである。ビューファインダーはパララックスが自動補正される。また カム の交換によって複数のレンズに連動が可能になった。ファインダーハウジング内部には GRAPHIC Rangefinder with Viewfinder and Rangelile の登録エンボス文字があり、その後のモデルにはカラートは採用されていない。ファインダーハウジングの中には電池と豆ランプを組み込んで2本のビームを出し暗闇でもピント合わせのできる機能(レンジライト)も付いていた。

 この頃から2x3、3x4機種は売れ行き不振のため製造が中止されたが、センチュリーだけはまだ人気があり存続していた。センチュリーにはクロ、グレー2種類のボディがあり、蛇腹も赤、黒の選択が可能であった。1966年にはグレイボディに黒蛇腹のデラックスモデル「センチュリー・プロフェッショナル」が発売された。


【シンクロターミナル】
 フォーカルプレーンにはフラッシュバルブに同調する二本の角型シンクロターミナルが設けられている。
アダプターコードを使えば種々のフラッシュガンに同調させることができる。

【スピグラのレンズ】
 ペースメーカーのレンズにはエクター、クセナーやオプターが、センチュリーにはグラフラー、テッサー、ヘリゴン、クセノターやプラナーなどが用意されていた。
 最もポピュラーなペースメーカーのレンズはエクター127mmF4.7で、中古でスピグラを買うと大抵このレンズが付いてくる。画角はライカ判の35mmレンズに相当する。希にオプターやクセナー135mmf4.7のこともある。何れも4x5用に設計された優秀なレンズで十分なイメージサークルを持っている。前期モデルにはカラート製レンジファインダーが付いていてカメラに付属のレンズに連動するように調整されている。
 スピグラは今でも実用機である。少し目先をかえて標準レンズに最新のアポジンマー150mm F5.6、ワイドにワイドコンゴー90mm F6.3、さらに望遠用としてテレコンゴー400mmテレタイプ型レンズを選べばフィールドでの手持ち撮影を楽しむにしてもあまり荷になることはない。後期型は カム によっていろんなレンズに連動するので手持ち撮影の幅の広がるのも有り難い。カムは自作可能。
 また、シャッターの付いていない古典レンズでもフォーカルプレーンが使えるのでそれらの持ち味を楽しむことができる。シャープな階調豊かなレンズやソフトなポートレンズを実写して見つけるのも楽しみのひとつだ。
 レンズボードや無限位置ストッパーは今でも新品で入手できる。蛇腹とボディの構造から取り付けられるレンズは90〜300mmが限度である。テレ側はテレタイプ型なら360mmまで使用可能。

【大判カメラの交換レンズ】
 市販されているフジ、ニッコールやシュナイダーの大判用レンズは大変高価である。現在、最もコスト/パフォーマンスの優れているレンズは山崎光学研究所の
コンゴーレンズシリーズで大抵の焦点距離は揃っている。このメーカーは大判レンズを作って70数年というから大判レンズへの拘(こだわ)りもハンパではない。性能の割に価格が安いのは流通機構を通さず直販に徹しているからだそうだ。
 400mmテレコンゴーはスピグラやスーパーグラフィックに装着可能で、コンパクトだがシャープネス、色再現とも申し分ない。画角はライカ判に換算すると高々135mmレンズ相当だが、望遠描写は素晴らしい。
 手持ち撮影のワイドアングルレンズではシュナイダーのAngulon 90mmF6.8が定番である。これに匹敵するオススメのレンズは山崎のWide Congo 90mmF6.3である。Angulonより少し明るく、色再現はこちらの方が優れている。中古の値段で新品の90mmが買えるのもオスススメの理由である。
 ソフトレンズなら同社のSoft Congo 150mmF4がオススメ。球面収差を利用した古典的ソフト描写のレンズで、フィルターなどでは得られない質の高い軟調描写が特徴である。前後のボケも自然で、高価なベリートなどより何時でも廉価に購入できる点が魅力である。

【ビューファインダー】
 ロールホルダーを使うときのビューファインダーにはスポーツマスクを作っておくと便利である。

【手持ち撮影とシャッターレリーズ】
 少し工夫をするとカメラブレの少ない安定したシャッターレリーズができる。



ペースメーカー各モデルの販売期間
2x3 スピグラ1947 - 1958
2x3 クラウン1947 - 1958
2x3 センチュリー1949 - 1970
3x4 スピグラ1947 - 1963
3x4 クラウン1947 - 1962
4x5 スピグラ1947 - 1970
4x5 クラウン1947 - 1973
ペースメーカー スピードグラフィックの仕様
カメラ高性能小型4x5インチカメラ
メーカー米国グラフレックス社
製造初年1947年
フィルム4x5inchシート、ポラフィルム他
ピント合わせベッドの左右ノブにより蛇腹が進退する
レンジファインダー二重像合致式
ファインダースポーツ及び内蔵逆ガリレイ式
ファインダー
レンズエクター 127mmF4.7 が標準
シャッターグラフェックス、シンクロコンパー
フォーカルプレーン 30-1000
撮影最短距離3.5フィート
発売時期1947 - 1970
重さの比較ペースメーカースピグラ 2.6Kg
ペースメーカークラウン 2.4Kg
スーパーグラフィク 2.4Kg

 【スピグラの歴史、7つのモデル】
 プレスカメラの王者として「スピグラ」の愛称で知られるスピードグラフィックは
グラフレックス社が60年にわたって製造した大型スチルカメラで大きくわけると 7つのモデル に分類することができる。

 【ペースメーカーのバリエーション
 スピードグラフィック
 初期型 フォーカルプレーンがアニバーサリー時代のもので24速が選べる。四つのスリットと6種類のバネの組み合わせで24速になる。ボディにはこれらを組み合わせた速度表が貼られている。初期型にはフロント/バックのシャッター切り換えボタンやボディシャッターは付いていない。
 中期型 フォーカルプレーンが6速の直読式に改められボディリリ−スが可能になった。
 後期型 トップレンジファインダーと呼ばれるモデルで、距離計がグラフレックス社製の独自のものに代わった。カラート型はカメラに備え付けのレンズ一本にしか連動しなかったが、このモデルはカムの交換により複数のレンズに連動が可能になった。

 クラウングラフィック
 初期型と後期型ではカラートかトップレンジファインダーかの違いがある。

 センチュリーグラフィック
 スピードやクラウンには2x3モデルもあるが、クラウンの2x3モデルのボディをモルード(樹脂)にしたのがセンチュリーグラフィックである。ボディシャッターは付いていない。


 私の4x5スピグラには、普段は
Schneider Angulon 90mmF6.8 が付いている。4x5でも気軽にスナップできるワイドレンズである。大勢集まるパーティの集合写真には4x5の威力は大きい。フラッシュバルブを使って撮影することもあり、このレンズが活躍する。また、最近はベリート83/4 Inch F4を付けて本格的なソフト撮影も楽しんでいる。このレンズの焦点距離は222mmあり4x5のポートレイトには使いやすい画角で美しいフレアが得られる。標準画角のソフト描写にはソフトコンゴー150mmF4の方が使いやすい。このレンズはフレアの出かたが安定していて実に格調高い描写をしてくれる。クラシックレンズよりコントラストが高い点は現代レンズならではの描写かも知れない。
 3x4モデルは現在シートフィルムが手に入らないため、Patent Rolex Holder の付くアタッチメントを作って6x9cm専用カメラとして撮影を楽しんでいる。
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【作 例 1】   藤  Angulon 90mm F6.8 F22 1/100
          
Grafmatic Film Holder 使用

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