menu
稲作・薪木下し
薪木(かまぎ)下し
 農家では自給自足といっていいくらいに、生活物資を調達する。そして見事に自然と共存しているのである。薪もその一つで、山で切り出し、川を利用して自宅近くまで運ぶのである。少々なら自宅周辺で枯れ木を拾うなりして賄えるが、長い冬を越すには大量の薪が必要になる。

 当然であるがこれは凄いことだ。なぜなら自宅周辺の樹木を切ったら、たちまち無くなってしまう。木を燃すには数時間だが育つには数十年かかる。古代都市が消滅したのは周辺の自然を破壊したからだ。そんな歴史に関係なく、自然と共存しなければならないことを農民は心得ている。

 そこで山で伐採し、夏場の農閑期を利用して自宅前まで運ばれる。これは山麓の村ならではの運搬手段だ。すべてが人手にかかっているから、運搬も例外ではない。大量の場合は馬車か馬ソリによるが山では路が完備しているとは限らないし、傾斜も厳しいから川を利用するのは合理的だ。

 子どもたちも手伝うことがあるし、こうした経験から感覚的に身につくことが多い。流れに立つと足下は川上から掘られてゆく。石が川を上るとは信じられなかったが納得した。木の葉一枚でも流れ方を見ていると、刻々と変化するのも楽しいし、人生の流れもそうと思ったりした。
menu