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Landscape
花の撮影
 鎌倉には花の写真を撮影する方がたくさん訪れます。とくに中高年の皆さんが多く、ご婦人が多いのも目立ちます。重いカメラ機材もいとわず、仕事ならどんなに不満かと思うくらいです。
 それほどの行動力を喚起させる趣味とは、やはり偉大なのでしょう。趣味は本業を追い越してこそ本物であるそうですが、まさにその通りだと思います。
 これほどの意欲があるのですから撮影は楽しいですね。撮影の苦労も楽しくなるのですから、趣味は人間本来の姿かもしれません。
 撮影は自分の意思で作品ができるのですから、楽しくないわけはありません。およそ作家でないかぎり、作品を制作する機会は少ないでしょう。けれども写真は比較的容易に作品ができます。つまりだれでも作家になれるわけですが、それには創意工夫がものをいいます。他人はどのような撮り方をしているか、そんなことも参考になるでしょう。
 花の撮影にも狙いはさまざまです。花がよくわかるような説明的・図鑑的な撮り方や情緒を狙った撮り方。などなど。それには花を主題に背景にも多くを語らせたいといったこともあるでしょう。撮影技術が上達すれば多様な表現を試みたくなります。
 最初は狙いをきちんと捉えることから始めます。第三者が見て、なにを撮ったのかはっきりわかることが肝心です。それには主題を画面いっぱいに撮ることです。はみ出すくらいでいいでしょう。そして余分なものは画面に入れないことです。
 そうはいっても背景は重要な要素ですから、主題が生きるように工夫すべきです。光線状態や生態の状況、色彩、カメラアングルなどなどの要素を踏まえて、狙いが最も適切なアングルを選びます。
 すべての条件が整った、都合のよいことはまれですから妥協になりがちです。そこはご自身で判断するしかないでしょう。しつこいようですが、まずは主題を明確に撮ることです。
 写真は構図を変えて撮影することが容易です。ゆえに安直になりがちです。はじめのうちは仕方ないにしても、構図を即決できるように鍛練するべきです。これは花にかぎらず、あらゆるテーマに共通しています。
 次に、花の撮影ではAEで測光した場合は、露光値を調整しなければならないことが多々あります。花は周辺に比べて明るい場合が多いので、1〜2絞り、あるいは3絞りくらいアンダーに調整することがあります。花が適正露光なら、それだけ周辺がアンダーになるので花が浮きだします。露光値の調整については、カメラのマニュアルを読んで下さい。
 天候がよければ気分も撮影も快適です。けれども雨や曇天だからこそ風情があることも忘れてはならないでしょう。次に要点をいくつか述べてみます。
交換レンズ・撮影距離
 焦点距離の異なったレンズがあると、より変化に富んだ表現が可能になります。複数の写真で表現するとき、大半が標準レンズで撮影されたものでも、そこに望遠や広角レンズで撮影した写真が加わると効果的です。そうした意味で、レンズは特徴を活かして使います。
 一般的には遠いところをより大きく写したいときに望遠、広い範囲を捉えたいときに広角レンズを使います。さらに焦点深度を利用してパンフォーカスにしたり、圧縮した効果や遠近を強調するといった使い方もあります。
 また状況によっては交換レンズを使わなくても、近くに寄ったり離れたりして、つまり撮影距離を変えることで、構図を変えることができます。

カメラアングル
 望遠や広角レンズを使ったり、撮影距離を変えたりすると同時にカメラアングルも工夫します。常に立ったままで撮れば似たような構図になります。通常は地面から目の高さまで変えられますし、さらに上・横・斜めといった具合にカメラの向きを変えて最適なアングルを選択します。
とくに花は、地面すれすれに咲いている場合がありますから、ローアングルで撮る場合が多くなります。このとき上からファインダーを見ることができる、ライトアングルファインダーがあると便利です。
風・三脚
 花の撮影では風が大敵です。風でブレた効果を狙う場合は別として、強風の日は撮影不可能です。カメラを三脚に固定してもカメラブレを避ける効果しかありません。
 そうしたことから私は三脚を持参することはめったにありません。三脚を使うとカメラアングルを変えるのがおっくうになります。手持ち撮影ですと迅速にアングル変えることができるので、場合によっては短時間で数カット撮影できます。また多少の風なら、カメラブレを避けるシャッタースピードで撮りますから、風によるブレも避けられます。
 三脚を使わないもう一つの理由は、身軽にして気軽な散歩がてらの撮影でもあるからです。まことに怠慢のようでありますが、そのほうが対象をよく見ることができます。そんな具合ですから、三脚を持参するのは「今日はどこそこへ花を撮りにゆく」といった具合に、目的がはっきりした場合です。しかも200ミリ以上の望遠レンズを使うときだけです。

フイルム
 最終仕上がりがプリントの場合は、ネガカラーを使うと思います。私の場合は印刷に使うのでリバーサルを使っています。
 感度は速いにこしたことはないのですが、色彩や粒状性からISO-64を使っています。また天候の不順や風の影響が強いときはISO-400のモノクロームを使います。もちろんそれだけの理由だけではなく、元来モノクロームが好きなので多用しています。
Nikon Fシリーズ
Pentax LX
 花の写真を撮るにはどんなカメラがよいか。これは表現や使用目的によって異なりますが、一般的には35ミリ一眼レフレックス形式が最適です。比較的小型計量で携帯性に優れ、手持ち撮影が容易です。また近接撮影が多いので花のクローズアップにも適しています。
 私のカメラは20年以上も前からある旧式?のカメラばかりです。なぜなら、最新式のカメラは難しくて使えないからです。
 撮影では構図やカメラアングル、光線状態などさまざまな要素がありますが、カメラ操作は焦点調節と露光(シャッタースピードと絞り値)だけです。たったこれだけのことをカメラに依存するのは自己不在のようで、またオートの操作が非常にヤヤコシク感じます。電池がなくなれば機能しないのも不安です。さらにいえば、光学機械というよりも電子機器のようで材質感も気にいりません。
 通常は標準レンズ付のカメラで、表現意図の大半を撮影することが可能です。花のクローズアップには、中間リングとかクローズアップレンズを使う方法がありますが、マクロレンズですと無限から連続的に近接撮影が可能ですから迅速な撮影ができます。さらに望遠や広角レンズがあると、より表現の幅が広がります。
ソフトフォーカス

 レンズは焦点が合致すればシャープに写ります。焦点が合致しなければ、それはピンボケでソフトフォーカスとはいいません。ソフトフォーカスは、あくまでも画像の芯を捕えて柔らかく描写します。
 この効果を得るには、アタッチメントレンズや専用のレンズが各種ありますが、各々に特徴があります。また光線状態や被写体によっても描写が異なります。したがって経験に頼るしかありません。
 しかしながらソフトフォーカスは魅力的で、花にかぎらず、人物、風景などにも効果的です。
 冬のページには曇ったレンズによる作例があります。こうした例がありますから、古いカメラやレンズもあきらめないで試して見ましょう。
あなたのカメラ当たったわね
 近頃ではめったにないが、かつては機器類などに当たりはずれがあるといわれた。これは製品の完成度が均一ではなく、故障がちな製品を手にしたとき、はずれたという。 猫の撮影であるお宅に伺ったとき、ご婦人の姉上がぜひ会いたいという。あまりに熱心なので訪ねた。60代と思えるご婦人は写真が趣味で、猫や花、静物などを撮っていた。
 作品は実に素晴らしく、お話も的を射ていた。初老のご婦人が写真を趣味として不思議はないが、それでもこういう方がいらしたのかと感心してしまった。
 ひと通りお話が済んだらお友だちの話になった。あまりに素晴らしい作品を撮られるので「あの人に撮れるのだから、私たちにも撮れる」ということになったらしい。そこでみなさん同じカメラを購入して、海外の花と城の撮影旅行に出かけた。
 結果は誰が見ても歴然としており、友人たちはかなりショックだったらしい。それでも自分を信じてか、「あなたのカメラ当たったわね」その後も会うたびにいうので、「私、もうおかしくておかしくて。でもカメラじゃないのよ、といえば気を悪くするし」
「お友だちはわかっていると思いますよ、なんでしたら今度撮影旅行に出かけたら、カメラを取り換えてみたらどうでしょう」
「そのようにしたら、このカメラ人を見るといいました」

 そういえば、カルチャーセンターで質問を受けたことがある。
「いい写真を撮るには、どのカメラを買ったらいいでしょうか?」
 高性能にこしたことはないが、写真のでき具合はカメラではなく作者にある。こういってもあまり信じない。カメラが良いといい写真が撮れる、と思っている人が意外にいる。
 本職でも素晴らしい作品に出会うと、ついカメラの銘柄を聞くことがある。もちろん参考に、という程度ではあるが。
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