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俳句・武田玲子
一月
御慶すぐ猫の自慢となりていし
年迎うかなめに座る親子猫
老い猫の恵方にころころ手毬かな
路地裏の猫も知る道初明り
児がつきて猫のじゃれつく手毬かな
二月
豆まくや挑み構えし猫の背ナ
恋を追い土足のままに春の猫
恋猫に名札をつけて放ちけり
雪たいら猫の足跡のみの朝
外に漏らす節分の灯や猫は内
三月
恋猫の細身の貌を拭いいし
負け猫のおもねて通る春の庭
雛の間に猫がえにしの集いかな
北窓を開くや猫の落ち着かず
猫好きな話に酔いて水仙花
四月
かぎろいて庭に来ている迷い猫
春うらら猫の素顔の眠そうな
春愁の猫に似てくる主かな
野の猫と切火のように落花浴ぶ
客猫もゆっくり構え遅日かな
五月
駘蕩の中にじゃれ合う親子猫
芝桜仮眠に匂うマ-キング
子ねこ早序列のありし遊びかな
早蕨のような手をもて化粧猫
猫の仔やこの子が欲しい花いちもんめ
六月
子猫にも主役脇役ありにけり
薫風の私語にぴくぴく猫の耳
膝に抱く猫のうす目やリラの花
呼ばれたる猫の背伸びや栗の花
草丈を踏みて猫ゆく海霧晴れ間
七月
あめんぼういる池子猫覗きいて
噴水の虹にまかれて猫だいて
耳さとき猫の飛びくるひとえ帯
和箪笥の上が大好き昼寝猫
Tシャツの胸で猫の絵おどりおり
八月
白猫の影くらぐらと大夕焼
夕焼けに続くらくがき猫もいて
老い猫と同士の貌に涼みおり
明日もまた炎暑とならん猫の声
夕涼に猫もお供をする気色
九月
老い猫のひらりと塀に木の実落つ
のったりと猫裏返る残暑かな
さわやかに猫に隠せる物のなし
満月を揺らし水飲む青き猫
獲物得て自慢気な猫流れ星
十月
うらうらと猫に寄り添う小春かな
秋霖や一瞥重きかじけ猫
毛糸編む猫のいたずらとめどなし
小鳥来て悪猫となる爪を研ぐ
あんなにも金色に濡れ月の猫
十一月
木枯に猫の遠鳴き混りくる
小春日や絵のように猫眠りけり
嚔する猫に集まる眼の笑う
短日のかの猫今日は素通りす
暗がりに眼ひからせ狩の猫
十二月
猫の目を縦に光らせ冬の雷
歳晩の名札つけられ迷い猫
人間の遠慮がちなる炬燵猫
叱られて所在なき猫山眠る
日向の香まといて戻るかまど猫
薫風の私語にぴくぴく猫の耳 夕焼けに続くらくがき猫もいて
小気味よく猫のすべりて土手青む のったりと猫裏返る残暑かな なかんずく子育て常におこたりぬ
赤とんぼしばし憩うや猫の背ナ 絵のような猫はいつでも絵のように うらがれの発火寸前日矢明り
うすうすと吾のぬくもる囲炉裏端 冬陽浴びいたずら楽し藁家かな 日溜りの猫うとうとと冬座敷
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